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「それで?確認したの?」
今日は学食ランチ。
外は雨でカフェテラスには出れないから室内で。
『……したわよ。』
もちろん、ホスト直の話を渚にした訳で。
「で?どうだったの?」
『…全部、本当だった。車の車検証も後輩のだったし本人にも聞いたら貸したって言ってたし。住んでる所も本当に昔風のアパートだったし。アパートにはプレゼントの箱とか沢山あったし。あいつの言ってるの全部本当だったのよ。』
あの後、直ぐに確認しろとホスト直が言い出してマンションを連れ出された私。
そして、全て確認したらホスト直の言ってた事は本当だった。
あの時のホスト直のどや顔が頭に媚びり付いて離れない。
「じゃ、仕方ないじゃない。あんたが言ったんでしょ?それが本当なら考えるって。」
相変わらずパスタをフォークにクルクル巻きながら渚が言った。
『…そうだけど。でもさ。誰が信じる?ホストのくせに車も持ってない、おんぼろアパートに住んでる、服も貰い物。これの何処にホストの要素があるわけ?誰だって嘘だって思うわよね?』
「まだ売れないホストなんじゃないの?ホストの世界もさ。売れなきゃ意味無いし。ぺーぺーで働いてるうちは給料だってそんなに貰えないでしょ。後輩が居る辺り一番下では無いだろうけどさ。No.1とかと比べたら天と地程違うんじゃないの?目標額も幾らかしらないけどさ。そんなのいつまで経ってもホスト辞められないじゃない。本当、あんたも変な約束したもんね。」
……本当に…。
『…渚~。助けてよぉ~。』
そんなのに捕まったらたまったもんじゃない。
「知らない。あんたが今までちゃんとした恋愛してこなかったから悪いのよ。まともに恋愛しとけば、そんなのに捕まる事もなかったでしょ?自業自得ね。まっ。付き合ってみなさいよ。性格はいいかもしれないじゃない。あんたに嘘つかない分はさ。」
『…親友が困ってるんだよ?渚ちゃん。』
「親友だから言ってるのよ。散々、私の忠告無視して自分の恋愛論語ってきたんだから。ここで、親友の大切さを実感しなさい。」
……意地悪。
『…もう、いい。考えるって言っただけで付き合うとは言ってないもん。』
そうだ。言ってない。
「それが通じる相手ならいいわね。まっ、健闘を祈る。親友としてね。」
ニッコリ笑う渚に何も言えなかった。
悔しい~!
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