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それから、しばらくの間ホスト直は来なかった。
ある日の夜。
寝ていたらスマホの着信音に手を伸ばした。
『……もしもし…』
もちろん、頭はほぼ寝ている状態。
「もしもし。侑李?寝てたか?」
……この声は。
『……ホスト直…何…』
結局、拒否っていたホスト直のプライベート用の番号は解除しないといけなくなった訳で。
「…ホストとか言うな。直でいいだろ。ってかさ、今から行く。じゃあな。」
……おいおい。
言いたいことだけ言って切りやがった。
スマホを握ったまま、また寝た。
しばらくすると、インターフォンの音にまた目が覚める。
ヨタヨタと起き上がり鍵を開けると
「侑李~!久しぶり~!超会いたかった~!」
超ハイテンションのホスト直。
『…抱きつくな。…酔ってんの?』
アルコールの臭いに眉間にシワを寄せた。
「酔ってねぇし。はい。これ。土産。」
離れたホスト直の手には、有名洋菓子屋のケーキの箱。
『…要らない。どうせ、客から貰ったんでしょ?』
言ってリビングに向かいソファーに座るとテーブルに箱を置いて隣に座るホスト直。
「じゃ、捨てる?俺、甘いの嫌いだし。侑李食べないなら捨てるけど。」
テーブルの上に置いた箱を持ちキッチンへと向かうホスト直の腕を掴んだ。
『…食べるから。勿体無い事しないの。』
すると、振り返りニッコリ笑うホスト直。
「だよね?侑李ならそう言うと思った。」
で、箱を手渡された。
すごく満足気に。
箱を持ってキッチンでお皿に移し変える。
その間にお湯を沸かして珈琲を淹れた。
リビングに行けばソファーに横になっているホスト直。
『ほらっ。起きてよ。珈琲淹れたから。一緒に食べよう。一人じゃ食べきれないから。』
身体を揺さぶると起き上がった。
「…ん。サンキューな。」
そう言って珈琲を飲んだ。
『何でケーキ?よく貰うの?』
男なのに?
「…ん?あぁ。今日、俺の誕生日イベントだったから。だから、準備とか忙しくて連絡出来なかったんだ。ごめんな。」
…何故に謝る。
『…別に。あんたからの連絡なんて待ってないわよ。自惚れるな。』
ケーキにフォークを刺し一口分掬って食べる。
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