第8章

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「おはよう。侑李。今日の朝飯は和食にしてみた。」 にこやかに笑って食事の準備をしているホスト直。 『…おはよう。ねぇ。ホスト直。無理してない?前も言ったけど朝食は交代で作ればいいし、夜も作らなくていいって。あんただって、ホストと言えども仕事してる訳だしさ。』 「俺が好きでしてるんだし。別に問題ないだろ?そんなこと気にするなよ。それより早く顔洗ってこいよ。学校だろ?」 まだ着替えもしていない私を見てホスト直が言う。 言われて顔を洗い準備をしてテーブルについた。 「侑李さ。いい加減、ホスト直って呼ぶのやめろよな。直でいいから。」 味噌汁を啜りながらホスト直が言う。 『だって、ホスト直の方がしっくりくるじゃない。あれでしょ?店でも直って呼ばれてるんでしょ?なんかやだ。』 客と一緒とか。 「やきもちか?」 『…そんな訳ないでしょ。バカ。』 卵焼きを口に入れる。 ……旨い。 「源氏名は尚夜(なおや)。直って呼ばせてねぇよ。何か嫌だろ?馴れ馴れしいのは。だから、店では尚夜。」 へぇ~。ケジメつけてるんだ。 『ふ~ん。そうなんだ。てっきり直ってそのまま使ってるのかと思ってた。』 「だから、侑李は直って呼べよ。」 味噌汁を飲みながら聞く。 『ん。って言うか、この味噌汁。ダシからとってんの?』 「当たり前だろ?味噌汁はダシが命。いりこだけどな。旨いだろ。」 『かなりね。料理どうやって覚えたの?』 習ってたのか? 「自己流。俺、小さい頃から料理好きでさ。親父が料理人だったってのもあるけど。そういうの見てたから男が料理するの抵抗無かったんだよな。」 なるほどね。
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