第8章

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『そうなんだ。私も小さい頃から父親が料理してるの見てきてるから抵抗は無いわね。父に料理は教えてもらってたし。少しでも父親の負担減らしたかったしね。だから料理本で勉強したりもしたもんよ。レパートリー少ないけどさ。』 兄貴はあんなだし。 「そっか。少し侑李の事知れて嬉しい。」 ……そんなに嬉しそうに笑うなよ。 『まっ。それぞれ家庭の事情ってのがあるものよね。あっ。ヤバい。学校遅れる。今日、朝イチで講義あるんだった。』 それからバタバタと朝食を食べて出掛けた。 片付けはしとくから早く行けと言われ、家を出てきた。 何て言うのか。 私が甘えちゃってる? 少し申し訳なく思いながら学校へ向かった。 ホスト直。改め、直と暮らし始めて1週間。 直の嫌な部分がひとつも見つからない。   酔って帰ってくる事も一切無く、結構マジメだったりする。 そして、あの日以来いかにもホストです的なスーツ姿は見ていない。 まぁ。スーツは店の事務所に置くって言ってたしね。 家に居るときは、ジーンズにシャツとかニットセーターとか何かシンプルな格好。 ホストっぽくは無く、お洒落さんって感じ。 ジャラジャラとアクセをつけてる様子も無い。 ただ、左耳にリングピアスが2つ。 その程度で。 チャラチャラした感じでも無い。 だから、最近ではホストって思わなくなってきた。 私って単純なのか。
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