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『…直?』
仕事に行ってるはずの直が私を抱き寄せてた。
「…お前。誰だよ。」
雅司が驚いた様に直を見ている。
「お前こそ誰?侑李に何か用?」
直がいつもとは違う低い声で雅司に言った。
「…俺は…俺は侑李の…」
戸惑う雅司。
そりゃあそうだよね。
だって、元カノでもないし。
「侑李の何?あー。あれ?彼女居るのに侑李を2号にしてたとか?」
直の言葉に俯く雅司。
「…彼女とは別れた…侑李の事は本気だ。」
顔を上げた雅司が直を睨むように言った。
「彼女と別れたから今度は侑李か?ふざけんなよ。悪いけど。今、侑李と付き合ってんのは俺。俺はこいつを2号になんてぜってぇしねぇ。俺は侑李を幸せにすんだよ。てめぇの入る隙なんてこれっぽっちもねぇから。諦めな。侑李の魅力に今更気付いてもおせぇよ。行こうぜ。侑李。」
…直。
直に肩を抱かれたままマンションに入ろうとすると
「…侑李。本当なのか?こいつの彼女になったのか?お前、誰かの彼女にはならないって言ってたよな?こいつもそうなんだろ?こいつもお前の事、2号に…」
『違う。直はそんな男じゃないから。雅司。次の彼女は大切にしてやりなよ?じゃなきゃ、雅司も幸せになれないよ。バイバイ。雅司。』
雅司の言葉を遮るように言葉を重ね、その場に雅司を残したまま直とマンションに帰った。
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