第9章

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見上げると 『…直?』 仕事に行ってるはずの直が私を抱き寄せてた。 「…お前。誰だよ。」 雅司が驚いた様に直を見ている。   「お前こそ誰?侑李に何か用?」 直がいつもとは違う低い声で雅司に言った。 「…俺は…俺は侑李の…」 戸惑う雅司。 そりゃあそうだよね。 だって、元カノでもないし。 「侑李の何?あー。あれ?彼女居るのに侑李を2号にしてたとか?」 直の言葉に俯く雅司。 「…彼女とは別れた…侑李の事は本気だ。」 顔を上げた雅司が直を睨むように言った。 「彼女と別れたから今度は侑李か?ふざけんなよ。悪いけど。今、侑李と付き合ってんのは俺。俺はこいつを2号になんてぜってぇしねぇ。俺は侑李を幸せにすんだよ。てめぇの入る隙なんてこれっぽっちもねぇから。諦めな。侑李の魅力に今更気付いてもおせぇよ。行こうぜ。侑李。」 …直。 直に肩を抱かれたままマンションに入ろうとすると 「…侑李。本当なのか?こいつの彼女になったのか?お前、誰かの彼女にはならないって言ってたよな?こいつもそうなんだろ?こいつもお前の事、2号に…」 『違う。直はそんな男じゃないから。雅司。次の彼女は大切にしてやりなよ?じゃなきゃ、雅司も幸せになれないよ。バイバイ。雅司。』 雅司の言葉を遮るように言葉を重ね、その場に雅司を残したまま直とマンションに帰った。
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