第10章

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直が出て行って1週間。 朝起きたら直を探してしまう私がいる。 毎朝、直と食べていた朝食は食べなくなった。 何だか一人の食事は虚しくて。 いつもの様に学校に向かっていたら 「おはよう。侑李。」 後ろから声をかけられて振り返ると 『…舞。あんたと会うの久しぶりなんだけど。あんた、私から逃げてたわね。』 私は忘れてないわよ。 言って歩き出せば舞が隣に並んできた。 「いやねぇ。もう時効でしょ?仕方ないじゃない。しつこく聞かれたんだから。それに凄く怒ってたし怖かったのよ。」 あの日、舞が直に私の事を教えてなければ。 『嘘ばっかり。どうせ、酔っ払って言い寄られて教えたんでしょ。あんたの性格位分かってるわよ。』 「バレた?って、言うかさ。結局、侑李の事聞いて何がしたかったのかな?」 えへっ。なんて、また年甲斐もなくぶりっこで誤魔化す舞にため息をつく。 『何がって。学校に来たわよ。』 「えっ?本当に来たんだ。凄いねぇ。そんなに侑李の事怒ってたのかな?」 『さぁね。もう会わないから別にいいけど。もう、変な誘いかけないでよね。』 「分かってるわよ。でも、あの人。あれだよ。あの店のNo.1だよ。尚夜だったかな。凄く有名な人。従姉のさお気に入りのNo.2も結構人気だけど、かなりの差がついてのNo.1らしいからね。この間は尚夜の誕生日イベントだったらしいけど。かなり凄かったらしいわよ。尚夜の客で貸切状態だったみたいで。従姉がブツブツ言ってたし。せっかく出逢えたから仲良くなれば良かったのに。」 ……No.1?直が? 舞の言葉に驚いた。 No.1なのにあんな暮らししてたの? 夢の為にお金貯めてるってのは本当だったんだ。 直は私に嘘をひとつもついてなかった。 「侑李?どうかした?」 黙り込んだ私に舞が声をかけてきた。 『…ん。何でもない。…やっぱり、あれでしょ?No.1とかだったら、女に不自由しないんだろうね。』 遊び人だと舞の口から聞きたかった。 それだったら、少しは私の気が紛れるから。
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