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直が出て行って1週間。
朝起きたら直を探してしまう私がいる。
毎朝、直と食べていた朝食は食べなくなった。
何だか一人の食事は虚しくて。
いつもの様に学校に向かっていたら
「おはよう。侑李。」
後ろから声をかけられて振り返ると
『…舞。あんたと会うの久しぶりなんだけど。あんた、私から逃げてたわね。』
私は忘れてないわよ。
言って歩き出せば舞が隣に並んできた。
「いやねぇ。もう時効でしょ?仕方ないじゃない。しつこく聞かれたんだから。それに凄く怒ってたし怖かったのよ。」
あの日、舞が直に私の事を教えてなければ。
『嘘ばっかり。どうせ、酔っ払って言い寄られて教えたんでしょ。あんたの性格位分かってるわよ。』
「バレた?って、言うかさ。結局、侑李の事聞いて何がしたかったのかな?」
えへっ。なんて、また年甲斐もなくぶりっこで誤魔化す舞にため息をつく。
『何がって。学校に来たわよ。』
「えっ?本当に来たんだ。凄いねぇ。そんなに侑李の事怒ってたのかな?」
『さぁね。もう会わないから別にいいけど。もう、変な誘いかけないでよね。』
「分かってるわよ。でも、あの人。あれだよ。あの店のNo.1だよ。尚夜だったかな。凄く有名な人。従姉のさお気に入りのNo.2も結構人気だけど、かなりの差がついてのNo.1らしいからね。この間は尚夜の誕生日イベントだったらしいけど。かなり凄かったらしいわよ。尚夜の客で貸切状態だったみたいで。従姉がブツブツ言ってたし。せっかく出逢えたから仲良くなれば良かったのに。」
……No.1?直が?
舞の言葉に驚いた。
No.1なのにあんな暮らししてたの?
夢の為にお金貯めてるってのは本当だったんだ。
直は私に嘘をひとつもついてなかった。
「侑李?どうかした?」
黙り込んだ私に舞が声をかけてきた。
『…ん。何でもない。…やっぱり、あれでしょ?No.1とかだったら、女に不自由しないんだろうね。』
遊び人だと舞の口から聞きたかった。
それだったら、少しは私の気が紛れるから。
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