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“コンコン”
「失礼します」
「よし、来てくれたぞ。さあ、行ってこい」
社長は待ってましたとばかりに、その巨体からは想像できない早さで立ち上がると、男の背中を押して俺へ押し付けた。
「ちょ…しゃ、社長っ」
「作業服は用意してあるから、着替えさせて仕事を教えてやってくれ」
戸惑っている俺に紙袋を持たせる。
「おじさん!僕は…っ」
「さあさあ行ってこい。なんでもチャレンジだ。わははは……」
俺たち二人を無理矢理社長室から押し出し、社長は扉を閉めてしまった。
しかも、ご丁寧に鍵までかける周到さ。
「仕方ねえな……来い」
男はしばらく社長室を睨んでいたが、諦めて仕方なく俺についてきた。
ロッカー室に案内し、紙袋を渡す。
「最悪だよ……ダッサイ社名の入った揃えの作業服なんて。色も嫌い!生地も硬い!こんなの着たくない!!」
「はいはい……文句があるなら、仕事が終わってから社長にたんまり言え。泣いても喚いても、今は仕事中だ。クソガキじゃあるまいしわかるだろ?今、おまえのすべきことは“仕事”だ」
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