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「いやあ、なに……ソイツをうちで雇うことになってな。是非とも君に面倒を見てもらいたいんだ」
「はいぃぃぃ!?」
冗談じゃない!
それは所謂、“お荷物を押し付けられた図”だろ?
ましてや社長の甥っ子だ。
結局長続きしなければ、俺のマイナス要素が増えるだけじゃないか。
「俺じゃなくても……甥っ子さんに歳だって近い町田や杉野たちの方がいいんじゃないですか?あいつらだってもうすぐ十年になりますよ」
俺は後輩を売ってでも、この大役から逃げたかった。
「私は君が“一番適任だ”と思っているのだが?」
社員は笑顔を絶やさないまま背もたれにもたれた。
ヤバイ!!
笑顔ではあるが、笑ってねえよ!
「もちろん……特別待遇も考えている」
「特別…待遇?」
まだ何かもわからないのに、もれなく付きそうな“特別付録”に、心がだるまを転がしたように揺れた。
当然、数々の修羅場を潜り抜けたであろう社長の目が見逃すはずもなく……
「今日から個人教育長に任命する。肩書きに“長”が付くんだ。胸を張れ」
しまった!
引っ掛かっちまった……
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