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「「うわぁぁ~…」」
町田と杉野が顔をひきつらせてハモった。
「まあ、マサさんて面倒見いいから」
町田の目は同情の目だ。
「俺を一人前に鍛えてくれたのはマサさんだし」
「スギ……てめえはいつから一人前になれたんだ?」
「マチさん、言っておくッスけど、俺はあの会社で若手のホープ!仕事はできるし顔もガタイもいい!」
胸を張る杉野を見て、町田は呆れたように首を振る。
「ギャンブル癖は治せよな。給料みんなギャンブルとか……シャレんなんねえぞ」
「スギ、まだギャンブル三昧か?」
町田の忠告を聞き、俺は苦い顔の杉野に訊ねた。
「前ほどじゃ……」
「あのなあ……決めた分で遊んでるうちはいいけど、依存はするなよ。どっかで線を引け。俺はそれで……失敗してる」
二人は驚き顔で俺を見た。
「勢いだけで20で結婚して、たった一年で別れた。理由は……俺の借金だ。毎日仕事もしないでパチンコ店に入り浸り…家庭も省みないから、元嫁は6歳上で度量あったけど、ついに愛想つかして出ていった。残ったのは借金だけだ」
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