第1章

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日本には何のツテも知り合いもいなかったが、二丁目に来ればみな同じ人種が集まった仲間。 日本語がペラペラなヨンはすぐ友人ができた。 ほどなくして、中国人のオーナーが経営しているバーに出入りするようになり、そこで働いていた同じ中国人の恋人ができた。 恋人は中国の田舎出身で貧しい育ちだったが、ヨンは貧しかろうがお金がなかろうが、お金を持ってるほうが出せばいい。 という考え方で、そんなことは一切気にしなかった。 恋人は年上だったが、デート代はすべてヨンが払い、街を歩いていて素敵な服やアクセサリーを見かければ、誕生日やイベント以外でも購入し、恋人にプレゼントした。 時にはブランドの財布やサングラス、愛情が行き過ぎたプレゼントもあった。 ヨンはレベルの高い豊かな教育を受け、知識と教養がある。 一方、貧しく田舎出身の恋人。 片言の日本語を話すのが精一杯。 ヨンは流暢な日本語で冗談も言えるし、誰とでもコミニュケーションが図れる。 日本に来てから、コミュニケーションで不便さを感じたことのないヨンに比べ、恋人は不便なことだらけ。 夜のバイトで、日本人相手にまだよくわからない日本語を使うのは、相当なストレスだったことだろう。 日本語が流暢でリッチなヨンという恋人ができ、最初は心強く嬉しく思っていたはずが、だんだんと疎ましくプレゼントにも重圧を感じていった。 そしてヨンの好意が除々に嫉妬に変わり、ジレンマを感じていたのかもしれない。 年齢が上だったこともあり、収入格差にもプライドが傷ついたのだろう。
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