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行為が終わると、さっさと背中を向けて寝てしまった下田。
身体の外と中に残ったイヤな違和感を拭いたくて、シャワーを浴びに行こうとフラフラしながらやっと起き上がる。
「せっかくだから、風呂に入って飲みなおそう……」
脱衣所に缶ビールを置いておき、シャワーを浴びてる間に丸い浴槽に湯を溜めた。
ざーざーと頭からシャワーを浴びて、さっきまでのことを拭い去ろうとしたが、体温が上がるたびに何故か鮮明に色濃くなっていく――あんなにイヤだったハズなのに、最後には感じさせられていた。
自分のものとは思えない、あられもない声を上げながら足で何度も布団を引っ掻き、腰を上下させて悦んでしまった。
「40にして、こんな趣味に走るなんて思いもしなかった……」
ガックリうな垂れながらシャワーを止め、引き戸を開けて置いてあるビールを取ろうとした時だった。
「んもぅ、ひとりで風呂に入るとかズルいんですけど、安田課長!」
声とともに、ズカズカ入り込んできた下田の姿を見て、あたふたするしかない。
「やっ…お前、寝ていた、だろ? だから」
「それでも、起こしてほしかったっす。背中流したいって言ったの、知ってるハズでしょ?」
「知ってるが……でも」
ハズカシイとは、言えない――
「はい、ビール。本当に好きですよね、お酒」
強引に手渡して、先に浴槽に入ってしまった。
「済まないな……」
いろんな意味を込めて言ってやるとニッコリ微笑み、おいでおいでをしてくる。
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