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「褒められついでに、教えてあげますよ。仕事が出来ないフリしてたのは、安田課長に構ってほしかったからです。ご希望とあらば右腕になるくらい、仕事を頑張ってあげますけど」
「なっ!? お前――」
「それよりも今は、安田課長を僕の手で快楽の世界に、ごあんな~ぃ!」
言い終わらない内に耳朶を口に含み、グチュグチュと口の中で弄ぶ。
「あぁっ、も……っ、やめっ!」
「ダメダメ。もっと感じさせてあげます」
私の身体を押さえつけながら縦横無尽に動く下田に肌が粟立ち、ぞくぞくしたものを感じずにはいられなかった。
「んあっ! ……あっ! うぁあっ」
抵抗出来ずに、色気のない声をあげるしか出来ない。今まで与えられたことのない感覚を感じつつも頭の裏側では、今まで抱いてきた女たちは、こんな風に感じていたんだと改めて考えさせられて。
滲んでくる涙で目の前が歪んでいるのに、意味なく天井を仰ぎ見た。まるで水の中にいるみたいだ。今の現実を受け入れたくない自分に、ぴったりかもしれない――好きでもないヤツに、こういうことをされるのは堪らなく辛い。それだけじゃなく、残念ながら感じてしまっている自分が、一番に情けないじゃないか。
「いっ、いい加減に…しろよ、下田っ……私は男なんだ、ぞ……」
「何を言うかと思えば。男同士だからこそ、責めどころが分かるっしょ」
「ちょっ! やめろ、見るな」
じたばた暴れる足を無理矢理に押さえつけられてしまい、下田の手がまっすぐにそこに向かって伸ばされてしまった。見られたくないところを見られ、頬が一気にぶわっと上気する。
「これを使って、今まで何人の女性を啼かせてきたんですかね」
「大昔の話しすぎて、覚えちゃいない。頭の中に残っていないが、心の奥底の見えないところに、彼女たちは棲んでいる」
「へぇ、だったらその彼女たちみたいに、安田課長のことを喘がせてあげますよ」
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