1940人が本棚に入れています
本棚に追加
広い胸の中にすっぽりと埋まった私の体。
「確かあの夜もそう言って、こんな風におまえを抱いたんだよな?」
「ちょっ!あ、あの時はこんな強引じゃ無かった!もっと雰囲気があって…」
「ありがとう麻弥。約束するから…」
「え?」
「命尽きるまで麻弥だけを愛し続けると、約束する」
狼狽える私の耳もとに落ちた、優しい囁き。
「……センセ」
ドキッとして、彼の声で体中に電流が走り抜けた。
あの頃のように甘くときめいて、
抑え込んで来た愛しさが焼くように胸に迫る。
「本当に?」
「ああ。俺の目にはおまえしか映らない。
それに、よそ見なんてさせない。俺は最低なエゴイスト。二度とそんな口が利けなくなるくらい、もっと溺れさせてやるよ」
彼はギュッと強く私を抱きしめると、背中を抱いていた右腕を滑らせお尻を掬う。
抱きかかえられ、軽々と宙に浮いた私の体。
「ええっ!?なっ、なに!?」
おっ、お姫様だっこ~っ!?
あ……これって、あの夜と同じだ!シャワーを浴びた後、ソファーに座りガチガチになった私を先生が抱き上げて……
――って事は、このままベッドに!?
想像と欲望が追い付いて行けないくらいの急展開。
「あ……あの、先生?そんないきなり……わたくし、まだ心の準備がですね…」
緩んだ顔だけじゃ無い。身体の奥深くが彼の熱を思い出し、疼くように火照りだす。
「心の準備?何を今更」
「今更って。…だって、だって、まだ信じられないんだもん…」
ただ素直に嬉しくて、胸が焼け焦げてしまいそう。
先生の首にしがみつき、泣きそうな声を漏らす。
廊下に響くのは、私を抱きかかえる彼の足音。
「信じられなくても何でもいい。欲しくてたまらない女が目の前にいるのに、もうこれ以上は待てない。俺は、とことん独占欲が強い男なんだ」
彼は手前右側の扉の前で立ち止まると、抱えた私の体ごと指先を扉に掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!