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「部長、三島さんは俺とも方向が同じなので大丈夫です」
「……そう。じゃあ葉月ちゃんまた明日」
「…………はい」
ゆっくりと閉じたタクシーのドア。
まるでそれが私と楠田部長の越えられない境界線のようだ。
するとガラス越しの瞳がどこか悲しそうに笑った。
走り去っていくタクシーのテールランプをぼんやりと眺めていると後ろから私を呼ぶ声が響く。
「三島さん、送ってくよ」
「…………」
無言のまま振り返ると、友哉の背後には鋭い瞳で私を見つめる三浦晴香。
その状況に呆れるほどに笑いがこみ上げた。
「バカみたい」
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