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吐き出した暴言は、自分自身に向けた言葉だったかもしれないのに。
「バカってどういう意味?」
聞き返して来た三浦晴香を友哉の向こうから、営業部の湯川が止めつつ友哉に言った。
「まぁまぁ、今日は俺が三島さんを送るから黒田はいつも通りに三浦さんを送ってやれよ」
「いや、でも……」
言いかけた友哉の腕を制して、湯川は私の腕をそっと引く。
「三島さん、帰ろう。
じゃ黒田、三浦さんのことよろしくー」
ヘラッと笑った湯川は、友哉の返事も待たないままに店の前から歩き出した。
普段の私だったら、湯川になんて送ってもらおうなんて絶対に思わないけど。
このままあの場所にいたら、たぶん三浦晴香とやり合っていたかもしれないだけに、素直に従った。
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