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店から200mほど歩いた頃、湯川は靖国通りを行きかうタクシーに視線を向け始める。
「三島さん、面倒だからタクシー乗っちゃう?」
「どっちでもいい」
「ふはっ!そんな不機嫌そうな顔してないでさ。
何ならもう一件くらい飲みに付き合ってもいいよ」
この営業部の湯川という男、見た目は爽やか好青年って感じだけど実は友哉以上に腹黒くて、あちこちの女を泣かせてる要注意人物。
それは友哉から何度か聞いていたことだし、絶対にこんな男の誘いなんて乗らないつもりだったのに。
楠田部長から落とされた謎のキスのせいで私の心はずっと揺れっぱなしで。
それに目ざとくこの男は気づいていたんだと思う。
「楠田部長の今日の行動ってさ……あれ、相当ヤバいよね」
「……っ……」
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