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「だってあの人がうちの会社の派閥抗争に巻き込まれない理由、三島さんなら知ってるでしょ?」
「……何が言いたいの?」
私の問いかけに、湯川はクスと小さく笑って通りのタクシーに手をあげる。
「剣持社長の奥さんの冴子さんと今でも関係持ってるからでしょ」
「…………」
「それなのに、直属ではないにしろ開発部の部長ともあろう人が販売促進部の三島さんに手を出したなんて噂になったらさ……」
そこで言葉を止めた湯川と私の前に一台のタクシーが止まる。
自動で開いたドア。
そこに乗れよと目配せした湯川が私の耳元に唇を寄せ呟いた。
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