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走り出したタクシーの中、自然と目頭が熱くなる。
そんな私の姿を見つめながら友哉は、ゆるゆると手を伸ばし髪をクシャッと優しく撫でた。
「何も心配すんな。
今日のことで湯川が何を言おうと、楠田部長の立場がヤバくなる事なんてないから」
「でもっ……」
「確かに湯川の情報網は俺以上に凄いけどな、アイツの情報はあくまでも専務派閥が主体だ。
だから社長派閥の動きに関しては、見当違いな内容が多い。
楠田部長と冴子さんは、もうずっと前に終わってる。
俺の言う事を少しは信じろ」
「…………」
なんだか無性に自分が情けなく感じた。
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