第1章

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《荒川河川敷 24時02分》 生暖かい風が、顔を撫でる。 川の周りなだけに、他の場所より気温は低いが、それでも少年達は汗だくだった。 バイクのエンジン音と少年達の罵声が混ざり合い、風に流される。 その中でも立ち上がっているのは僅かだが、いよいよ終わりそうな気配が出ていた。 口元から血を流し、返り血のこびり付いた拳を握りながら、金髪の少年が叫ぶ。 「おい、ゆう!残ったこいつが頭だ!この町でかいツラして歩かせなくさせるぞ!」 ゆう、と呼ばれた少年はそれに答える。 「あったりめーだこら!2度と人に見せらんない顔にしてやるよ!」 リングを付け直し、首を鳴らすのと同時に、頭と呼ばれた少年と隣にいた少年も叫んだ。 「なめたこと抜かすんじゃねえぞクソガキ!ぶっ殺してやるよ!」 「臭い口でゴタゴタ喋んなくていいから、さっさとかかってこいや!」 挑発に挑発で返す。 フラフラの状態になりながら叫ぶ相手に、金髪の少年が鼻で笑った。 「くせー口だとよ、お前ちゃんと歯磨いてるか?」 「よし、こいつら潰したら次はお前な」 「上等だこら、その低い背もっと縮めてやるよ」 「んだとゴラァ!」 「やんのかあぁ!?」 「ぴよぴよ鳴いてんじゃねーぞクソガキぃ!」 置いてけぼりを喰らった少年達が怒鳴る。 耐えかねた『頭』の方が走り出す。 徐々に距離を詰められたのに気付き、ゆう達は相手に向き直った。 もうすぐ飛び蹴りの間合いに入る、そんな中でも金髪とゆうは笑っていた。 不気味に、ニタニタと、ピエロのように笑顔が張り付いてる。 そして、小さい声で、隣にしか聞こえないであろう声で、同時に呟いた。 「ぶっ殺してやる」 ~数分後~ 「お前ら次ここら辺でそのツラ見せたら、こんなもんじゃすまねえからな」 金髪の少年が、ぐったり倒れてる『頭』の横に立って言う。 片目は腫れ、ほっぺには切り傷を作り、うっすら開いた口の中は赤黒く染まっていた。 それを尻目に、金髪はポケットから黒いパッケージをした箱を取り出す。 一本抜き取ると、ポケットを探りながら1つ溜息をつき、ゆうを呼んだ。 「おーいゆう、ライター貸してくれ。どっかいっちった」 目を上げ、ゆうの方に目を向けると、そこには倒れた少年に馬乗りになってるゆうがいた。
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