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「これ以上この辺うろつくんじゃねえぞ、目印付けとくから」
と、咥えていたタバコを手に取り火がついたまま倒れた少年の手首に押し付けた。
少年の声にならない叫びが喉から押し出される。
「お前やりすぎだから、鬼かよ」
金髪の少年が止めに入った。
押し付けていたタバコを蹴り払い、馬乗りになってるゆうに手を差し出す。
「手でも貸してくれんの?殴られてネジ飛んだ?」
「ちげーよ、ライター貸せ」
「あぁ、ライターね。ほれ」
ライターを手渡し、ゆうも立ち上がる。
金髪は口元を拭いながら、
「腹減ったから、飯いこーぜ。カンナとメグが先食ってるってよ」
「おっけー、てか豪毅バイクどーした?」
「姉貴が持ってった。ニケツよろしく」
「あんなだっせーバイク乗ってて恥ずかしくねーんかな。まあいいや行こか」
軽口を叩きながらバイクのエンジンをかける。
アクセルを捻ると、まるで主人を待っていたかのように唸りを上げた。
ゆうー豪毅ーおつかれー、と今まで乱闘をしていた少年達が手を振ってくる。
それに手を振り返し、バイクを走らせ始めた。
少年達もまた、彼らの町の光に溶け込んでいった。
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