絡み合う歯車

2/13
前へ
/52ページ
次へ
「じゃあとりあえずかんぱーーい!!」 「うぃーおつかれー!」 「おつかれー!」 「おつかれさまですっ」 場所は変わって居酒屋。 生々しい傷のついた顔に笑顔を浮かべた2人の服には、洗う程度じゃ落ちないシミがこびり付いていた。 乾杯をした4人が、手に持った飲み物を一気に喉に流し込む。 「いった!」「いってー」 口元についた泡を手の甲で拭きながら、悠と豪毅は顔をしかめた。 「まじうけるんだけど、あんた達の顔に傷ないの見たことないわ」 ケラケラと笑いながら、大人びた表情の少女が綺麗な金髪を揺らしながら言う。 「ゆうちゃんも豪毅君もあんまりケンカしちゃだめだよ…?」 それとは対照的に、茶色の髪色をした少女は、心配そうに2人を見つめた。 「いいのよ、どうせ言ったって聞きやしないんだから」 「そうだけどさぁ、カンナちゃんもやっぱり不安でしょ?次会うのが病室とか嫌だもん」 「その時はフルーツ詰め合わせの代わりに、メグの下着詰め合わせれば大丈夫じゃない?」 「え、え、え!?やだやだやだ!そんな可愛い下着持ってないよ!」 「そこじゃないじゃん…」 カンナと呼ばれた少女は、苦笑いをしながらタバコに火をつける。 細い指に挟まれたタバコを口元に持っていく仕草は、17歳とは思えない妖艶さがあった。 口にタバコを咥え、右側に垂れた髪をかき上げながらカンナは悠と豪毅に向き直る。露わになった耳には、いくつかのピアスが覗いた。 「ほらほら、うちの姫が心配してるぞー。あんたらもいつまで馬鹿やってるつもりなんだよ」 ぴくっ、と豪毅のコメカミに力が入った。 「別に俺らもやりたくてやったわけじゃないからな、自分の町で騒げばいいものを俺らんとこまで来るからわりーんだよ。」 「まあそうゆうことだよな。大人しく消えりゃよかったのに、喧嘩売ってきたから買っただけだわ」 と、悠も口を挟む。 そんな彼らを見て、メグがしかめっ面になった。 「話して仲直りすればよかったのに!殴り合っても仕方ないでしょ!」 むううう、とほっぺを膨らました彼女を、カンナが横から突っつく。 「男なんて殴り合ってればいいのよ。どーせそのうちパクられるんだから」 「ま、パクられたらお前ら迎えに来てね。俺ら親こねーから」 豪毅がビールを飲みながら言った。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加