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「じゃあとりあえずかんぱーーい!!」
「うぃーおつかれー!」
「おつかれー!」
「おつかれさまですっ」
場所は変わって居酒屋。
生々しい傷のついた顔に笑顔を浮かべた2人の服には、洗う程度じゃ落ちないシミがこびり付いていた。
乾杯をした4人が、手に持った飲み物を一気に喉に流し込む。
「いった!」「いってー」
口元についた泡を手の甲で拭きながら、悠と豪毅は顔をしかめた。
「まじうけるんだけど、あんた達の顔に傷ないの見たことないわ」
ケラケラと笑いながら、大人びた表情の少女が綺麗な金髪を揺らしながら言う。
「ゆうちゃんも豪毅君もあんまりケンカしちゃだめだよ…?」
それとは対照的に、茶色の髪色をした少女は、心配そうに2人を見つめた。
「いいのよ、どうせ言ったって聞きやしないんだから」
「そうだけどさぁ、カンナちゃんもやっぱり不安でしょ?次会うのが病室とか嫌だもん」
「その時はフルーツ詰め合わせの代わりに、メグの下着詰め合わせれば大丈夫じゃない?」
「え、え、え!?やだやだやだ!そんな可愛い下着持ってないよ!」
「そこじゃないじゃん…」
カンナと呼ばれた少女は、苦笑いをしながらタバコに火をつける。
細い指に挟まれたタバコを口元に持っていく仕草は、17歳とは思えない妖艶さがあった。
口にタバコを咥え、右側に垂れた髪をかき上げながらカンナは悠と豪毅に向き直る。露わになった耳には、いくつかのピアスが覗いた。
「ほらほら、うちの姫が心配してるぞー。あんたらもいつまで馬鹿やってるつもりなんだよ」
ぴくっ、と豪毅のコメカミに力が入った。
「別に俺らもやりたくてやったわけじゃないからな、自分の町で騒げばいいものを俺らんとこまで来るからわりーんだよ。」
「まあそうゆうことだよな。大人しく消えりゃよかったのに、喧嘩売ってきたから買っただけだわ」
と、悠も口を挟む。
そんな彼らを見て、メグがしかめっ面になった。
「話して仲直りすればよかったのに!殴り合っても仕方ないでしょ!」
むううう、とほっぺを膨らました彼女を、カンナが横から突っつく。
「男なんて殴り合ってればいいのよ。どーせそのうちパクられるんだから」
「ま、パクられたらお前ら迎えに来てね。俺ら親こねーから」
豪毅がビールを飲みながら言った。
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