いつか

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慌てて画面をタップすると、大夢の声がする。 『亜里砂、連絡遅くなってごめんな。まだ着かないかも』 優しい大夢の声。 男性にしてはちょっと高めだからこその優しい大夢の声が私は好き。 「大丈夫だよ。花火は夕方からだから、まだ時間あるから。運転焦って何かあったら嫌だからゆっくり来てね」 『ありがと、でも花火に間に合う間に合わないじゃなくて、亜里砂に俺が早く逢いたいんだ。亜里砂はそうは思ってくれないの?』 ぎゅって心臓掴まれるような甘い言葉を大夢はさらっと言ってくれる。 そんなとこも大好き。 『亜里砂?思ってないの?』 返事のない私に催促する大夢の言葉は質問口調なのに、答えを知ってるからこその言葉で。 「逢いたいよ。大夢に、早く逢いたい」 電話越しにクスって大夢の小さな笑い声がした。 『よくできました。すぐに行くから待ってて』 うん、待ってるって返事と同時に電話が切れた。 雨が降り始めたって、言いそびれちゃった。 どうしよう?かけ直す? でも、運転中の大夢にこちらからかけるのはできれば避けたいし、雨はきっと止んでくれる。 そう、今の私に出来るのは雨が止むように祈る事と、もし、嫌だけどもし、延期になってしまった時にどこでどう過ごすかを考えておく事。 大夢は何が食べたいかな?
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