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「視障会の役員なんてさ。僕みたいな若造がやっても頼りないよね。ある程度年齢いった人がやるから、信頼もてるんだって」
苦笑いをしながら、そう言うと「……結構面倒だしね」と付け足すから私は思わず彼の方を2度見した。
「颯介くんってそういうこと好きで手伝ってるのかと思ってた」
「嫌いじゃないけど義務になると辛くなるものってあるって。春妃ちゃんも以前言ってたろ」
なるほど。
確かにその通りで、だから私はボランティアに徹している。
図書館につくと、いつもの自習スペースに席を取った。
颯介くんは愛用のパソコンとイヤホンをつないで準備をしている。
颯介くんのパソコンには、キーボードで文字を打つと音声で聞こえるようなソフトが入っているらしい。
私はあまりパソコンに詳しくないから、そんなソフトがあるなんて颯介くんに会うまで知らなかった。
私はその間頼まれている資料を広げる。
時には彼の仕事のための資料だけでなく、彼が個人的に読みたいと思っていた本などの音訳も頼まれることがある。
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