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「いつもごめんね」
イヤホンを耳に差し込む前に、颯介くんが申し訳なさそうにそう言った。
「うん? 何が?」
「いっつも付き合わせて。そのせいで遊ぶ暇もないんじゃないかな、と思って」
「そんなこと。元々、遊ぶ予定なんて殆ど入ってないもん」
「以前はそうだったかもしれないけど……」
彼は一度、言いづらそうに言葉を途切れさせ苦笑いを浮かべる。
首を傾げながら、私はその続きを待った。
「今は、彼がいるから。さすがに、いい顔しないんじゃ……ってかしてないよね」
「あ……や、そんなことはないよ、うん。亨、大人だし」
「空気で伝わるから」
一言ですっぱり言い返され、私は「はは……」と笑って誤魔化した。
いい顔してない……ってか、あからさまに颯介くんにヤキモチやいてるんだよね。
「でも、大丈夫よ。やめろとは一言も言わないし」
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