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確かに、元々迎えに来てくれる予定ではあったけど……熱っぽい、と伝えただけでこんなにもすぐに動いてくれると思わなかった。
携帯画面を見下ろしながら、思わず頬が緩む。
だが、すぐに身体のだるさに耐え兼ねて机の上に両腕を組んで突っ伏した。
いつもなら、どこか食事に行くか亨の家に行くかの流れなんだけど……うろうろする力はないし風邪を移しても悪い。
今日は、私の家まで送ってもらおう。
「ちゃんと連絡取れた?」
その声に、顔を上げると颯介くんが戻って来ていて、手にはスポーツドリンクとハンカチがあった。
「すぐ来るって」
「そう、良かった。これ」
そう言って、私の前にスポーツドリンクを置き、更にハンカチを差し出した。
ハンカチを受け取ると、濡れてひんやりと気持ち良い。
「少しでも冷やせないかと思って」
「うん、ありがとう。借りるね」
額に乗せて、手で押さえながらもう一度机に身体を預け横を向く。
迎えに来てくれると思うと気が抜けたのだろうか、さっきまでよりだるく座っているのも辛く感じた。
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