2049人が本棚に入れています
本棚に追加
亨が来るまで、あとどれくらいだろう。
着替えて用意してから、すぐに出てくれたとしたら……多分30分くらい?
「上手くいってるみたいだね、彼と」
「え……うーん。そう、かな?」
人にそう言われるだけで、口元が緩む私はかなり重症だ。
だけど、熱のせいだろうか。
つい弱音も、ぽつぽつと落っことしてしまう。
「でも、時々不安。亨、モテるしなぁ」
「でも春妃ちゃんもモテるでしょ」
「んー……お風呂場に、有名なヘアサロンの。シャンプーとか……」
「え? お風呂?」
そう。
お風呂場のシャンプーは、未だそこに君臨している。
「別に女性限定、ってわけじゃないんだけど。髪の毛ツヤサラになるって女性誌で載ってたやつで……」
って、なんでこんなこと、颯介くんに愚痴ってるんだろう。
余計なものばっかり見ないで、今の亨を見ていればいい。
わかってるけど。
頭がふわふわして、とりとめもなく言葉が出る。
顔が熱いのに身体は寒くて、足がだるい。
最初のコメントを投稿しよう!