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別に問題なのはシャンプーじゃなくて、そんなものがあってもなくても、きっと私はまた別の不安要因を探してしまう。
そんな疑り深い自分が、一番問題なんだ。
手で押さえていたハンカチが、いつのまにか机にずり落ちていたらしい。
それを持ち上げて、もう一度誰かの手で額に当てられる。
「ねぇ……、不安にばかりさせる相手なんて、……」
颯介くんの、声。
だけど、あんまりはっきり、聞こえなくて、というか頭に入ってこなくて。
返事をしようにも、目蓋が重くて眠たい。
「……春妃ちゃん?」
返事のない私を呼ぶ声が何度かしたけど、その時はどうしようもなく眠くてそこでぷつん、と記憶は途切れてしまった。
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