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頭も身体も重い。
座っていればわからなかったが、立った途端に貧血起こした時みたいに、中心がぐらぐらする。
「ほら。どうすんの」
目の前には、仁王立ちの亨。
別に歩けないことはない、けど駐車場に着くまでにかなりの時間がかかりそうで。
何より……やっぱ、しんどい。
「ごめん」
「ほらみろ」
「抱っこは嫌。おんぶにしてせめて」
「はいはい」
亨が私にくるりと背中を向けてしゃがみこむ。
その背中に、持っていたひざ掛けを身体の間に挟み込むようにして乗っかった。
「ほんっとにいちいち、めんどくさいな」
「……うるさいな」
「最初から素直に言うこと聞けばいいのに」
そんなこと言われても人前で姫抱っことか。
普通に考えて無理。
唇を尖らせて拗ねていると、亨が歩き出して身体が揺れる。
途中、受付でひざ掛けをおんぶの状態から手渡す時が一番、恥ずかしかった。
「ね、颯介君となんか話した?」
「……いや、特に」
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