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「じゃあ、取って」
「は?」
「舐めてとって」
「ばっ……公衆の面前で何言ってんの?!」
お好み焼き屋の店内は家族連れが多くて騒がしいから、会話は聞こえてはいないだろうけど。
テーブルスペースは衝立こそはあるものの、個室とは言い難い。
できるかぁ!
思わずムキになって彼を睨んだけれど、眉根を寄せて苦笑いをする亨と目が合って、からかわれたと気がついた。
「ほんとに、素直過ぎておもしれー」
私に向かって手を差し伸べて、前髪をさらりと撫でて、言った。
「さっさと食って、早く帰ろう」
ああ、もう。
こんな、お好み焼き屋の一角で、無駄に色気にじませないで欲しい。
耳が、熱い。
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