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「……でも、忙しいでしょ?」
「百貨店のクリスマスイベントで一つ、責任者になってるのがあるから遅くはなるけど」
ぎし、とベッドが軋む。
ベッドの端の空いた場所に亨が腰を下ろしたかと思ったら。
「家で待ってて。普段、デートらしいデートできないからな」
「……う」
嫌味を言われた。
それって、私が土日のほとんどをボランティアに使ってしまっているからだ。
亨が「なんで俺が女みたいなヤキモチやかなきゃいけねんだよ」とか小声でぶつくさとぼやいて、私は思わず笑ってしまう。
むっすりと不機嫌な顔で、私の頬や首筋を撫でて「笑うなよ」と言って上半身を屈めて、軽いキスをした。
「移るよ」
そう言ったのに、離れる様子はなくて、頬と瞼と唇に触れる。
かがんでキスする体勢がつらくなったのか、私の横に寝転がった。
私も身体ごと亨の方を向いて、向かい合う形。
「移るっていってるのに」
「その時は、もっかい春妃に移すからいいよ」
「それじゃいつまでたっても移し合いっこじゃない」
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