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可笑しくてくすくす笑っていたら、目の前の亨が急に真面目な顔をして、私の前髪を指で梳いた。
「ほんとに熱いから、少し寝ろって」
「うん」
その指を捕まえて、きゅっと握ったまま、口元に寄せて目を閉じた。
目も口も閉じると、自分の息遣いがいつもより少し荒いのがわかる。
「ね」
「うん?」
「ほかのひとには、うつさないで」
さっきの会話にかこつけて、冗談交じりに言うつもりだったのにとてもそんな風には聞こえないと、自分でもわかった。
なんでそんなことを言ってしまったのか、わからない。
ただ。
「……春妃?」
誰とも知らない相手にヤキモチダダ漏れの言葉に恥ずかしくなって、私はそのまま眠ったふりをして。
いつのまにか、本当に眠ってしまった
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