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翌日には熱はすっかりさがっていて、拍子抜けした。疲れがたまっていただけなのかもしれない。
まだ食欲はなかったが、亨がおかゆを用意してくれていたので頑張って口に入れた。
「これ、作ったの?」
「いや、レトルト」
だと思った。
早めに亨のマンションを二人で出て、出勤前に一度うちに寄ってもらった。
念のために休めという亨を無視して仕事の用意をして、もう一度亨の車に乗って二人で出勤……は恥ずかしいので途中で降りることにする。
あと一つ角を曲がれば会社のビルが見える、というあたりで路肩に止めて降ろしてもらった。
「めんどくさいな、いいだろ乗ってけば」
「やだよ」
いかにもそれじゃあ、昨夜から一緒に居たみたいじゃないの。
いや、居たんだけど。それをあからさまにしなくてもいいじゃない。
「熱、ぶり返すなよ」
降りる瞬間、少し心配そうに眉根を寄せてそう言うと、助手席のドアが閉まると同時に走り出した。
会社について、更衣室に行くと相田先輩と一緒になった。
「おはようございます」
「おはよう」
先輩とは、以前のようにはやはり仲良くはできていない。
けど、わざと無視されたりと業務に支障が出そうなことは、先輩もしなくなっていた。
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