前兆

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「なっ……!」 息を呑む。 アーガイルの反応も似たようなものだった。 しかし、ラドゥは険しい顔をしているものの驚いた様子はあまりなかった。 「バルバト殿はご存知でしたか?」 「いえ、小耳に挟んだ程度です。詳細な情報を集めているところでした」 「ならば話が早い。率直に言えば、本日は事件解決の御助力をお願いするべく参った次第です。どうか、バルバト殿と、アーガイル殿率いる高名なバルバト兵団の御力を貸していただきたい」 イヴァンの瞳がラドゥをまっすぐに見つめる。 その顔には、わずかに焦燥の色が浮かんでいた。 「イヴァン様と、他ならぬアレクサンデル卿の頼み。喜んで協力いたしましょう」 ラドゥの表情が柔和なものになり、それにつられるようにイヴァンも安堵の表情を浮かべる。 「感謝致します」 「……しかし」 ラドゥはすぐに真剣な面持ちになり、口を開く。 「それ程までに難解な案件なのですか?」 イヴァンの顔が曇る。 「……ええ。実は、行方不明の内七名が発見されたのですが、その全員が亡くなっていました。そして、遺体には奇妙な共通点がありました」
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