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「共通点?」
「はい。一つは首や手首など、体の至る所に咬み傷のようなものがあったこと。もう一つは体内にほとんど血液が残っていなかったことです」
何かが繋がった気がした。
ジュノはそれを言葉にする。
「それが『吸血鬼』の……」
「ええ、噂の要因でしょう」
イヴァンが肯定する。
「この情報は先に派遣した情報収集部隊から得たものです」
イヴァンはそこで言葉を区切ると、しばし沈黙する。
後に紡ぐ言葉を探しているようだった。
「……ウールドゥ山近辺で活動する自警団からの要請を受け、我々は調査隊を二つ編成し、既に派遣いたしました。当初は順調に情報を集めていたのですが……」
イヴァンは目を閉じ、天井を仰ぐ。
やがて意を決したように言葉を吐いた。
「……先遣隊とは『バルヴェニーへ向かう』と報告を受けて以降、連絡が途絶えました。急いで本隊をバルヴェニーへ向かわせたのですが、到着したであろうその日から連絡が取れません」
バルヴェニーはウールドゥ山の麓にある村の一つだった。
「……それは、いつのことでしょう?」
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