前兆

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恐る恐るジュノは尋ねる。 「先遣隊は一週間。本隊は四日前から」 「部隊を率いているのは?」 ラドゥの質問 「先遣隊はハミッシュを、本隊はベイリオルをそれぞれ隊長に任命しました」 「なんと……!」 ハミッシュもベイリオルも国内外問わず広く名の知れた戦士だった。 特にベイリオルは、個人の武勇も去ることながら指揮能力も優れた名将だった。 そんな彼らでも遂行できない。 その事実に場を沈黙が支配する。 「……現在、屋敷にはミューロンとラグニタスとその部下達が待機しております。フォルカークの部隊も本日中に帰還予定です」 沈黙を破り、アーガイルが兵団の状況を報告する。 「うむ……」 ラドゥは頷き、顎をさすりながらしばし思案する。 「……フォルカーク隊は待機。それ以外の兵は全員出動。これは最優先事項とする」 ようやく開いた口から、次々と指示が飛ぶ。 「事態は一刻を争う。フォルカーク隊が帰還し次第出発しろ」 「はっ!」
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