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ふと、彼は気付いた。
未だに広がり続ける、大きな丸い血溜まり。その一部が、見えない壁でせき止められたように、不自然に途切れている。
注意深く観察する。
血は、一枚の床板の淵に沿って途切れていた。いや、そこから下に流れているようだった。
それに触れてみる。微かに動く。つまり、固定されていない。
どうやら嵌めてあるだけのようだ。
近くにあった折れた剣の刃先を手に取り、その隙間に差し込む。梃子のように床板を持ち上げると、簡単に外れた。
ここか。
しかし、現れた隙間は僅かなものだった。
そこに手を入れ、引く。動かない。
どうやら死体が重りになっているようだ。
死体を隅に寄せ、改めて床板に手を掛ける。
ずっしりとした手応えがあるが、今度は持ち上がった。
溜まっていた血が、重力に逆らえず川のように流れていく。
成人男性が楽に通れそうな穴が出現する。梯子も付いていた。
覗き込む。
底が微かに照らされている。
この場からは見えないが、ある程度の広さは確保されているようだった。
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