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そんなある日のことでした。
いよいよ学校が始まるというその日、ゴミ置場から布団が姿を消していたのです。
やっと持っていってくれた…。
私は安心しました。
いけないことなのはわかっています。
しかし当時の私は、ゴミを捨てるのにお金を支払うということがまだ信じられなかったのです。
無料で持っていってよ…と。
私は部屋の鍵を閉め、新たな学校生活に胸を躍らせながら階段を降りました。
降りた先では、郵便配達員が各部屋の郵便受けに荷物を入れていました。
そういえば引越してきてから郵便受けを見たことがない、と思った私は郵便配達員が去ったあと自分の郵便受けを開けて中身を確認しました。
案の定、放置していた結果多くのチラシなどで溢れていました。
その中に何も書かれていない一つの茶封筒を見つけました。
何だろう?と中を開けてみると、そこには一枚の領収証が入っていたのです。
料金と日付、身に覚えのない私は宛名と但し書き欄を見て思わず小さな悲鳴を洩らしてしまいました。
そこには私の名前がフルネームで宛名として書かれており、但し書き欄にはゴミ処理券代と書かれていたのです…。
誰の仕業か見当もつきません。
あの日誰かに見られていたのでしょうか?
なぜ私の名前を知っていたのか、なぜ布団を捨てて領収証を送りつけてきたのか、私にはさっぱりわかりませんでした。
それ以来、茶封筒や領収証が入っているということはありませんでしたが、何とも奇妙な出来事だったためしばらく怖がっていたのを覚えています。
一体何が目的なのでしょうか。
お金が欲しいのか。
感謝されたいのか。
見てたぞという警告なのか。
いずれにせよとても気味が悪かったです…。
それを母にメールしたのは、その夜のことでした。
なかなか来ない母からの返事を待っている時間が異様に長く感じ、何度も画面を確認しました。
それから少し経った時でした。
「領収証届いた?」
と、知らないアドレスからメールが来たのです。
私は怖くて身を震わせました。
なぜ、私のアドレスを知っているの…。
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