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金のモールの一本線を肩章につけた継雄が、養成高校の生徒に深々と頭を下げた。誇りの高い兄のこんな姿を、タツオは生まれて初めて見た。あっけにとられていると、ジョージがいった。
「ぼくに頭を下げる理由などありませんよ。駒だって、ただの駒のままで終わると決まったものじゃない。タツオのお兄さんのいうことは了解しました。ぼくも『須佐乃男』の攻撃型への転用には違和感をもっています。カザンにも隙(すき)はあります。ぼくの能力を高く買って、自分の部下に加えたがっている。彼の攻撃が緩(ゆる)んだときが、ぼくの勝負です」
目の奥には決死の覚悟とともに爽やかな光が見えた。菱川浄児(じょうじ)、この少年ならきっとなにかを成し遂げてくれるだろう。逆島少佐が手を伸ばし、ジョージに握手を求めた。
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