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「きみが作戦部を望むなら、全力でバックアップさせてもらう。まあ、菱川くんなら進駐軍のどこの部署でも、なんのコネもなく進めるだろうがね」  タツオは控え室の壁にかけてある時計に目をやった。20分の休憩時間は過ぎようとしている。準決勝の第1試合は、菱川浄児対東園寺崋山の決戦だった。  タツオは親友の肩に手をおいていった。 「ぼくからも頼む。なんとかカザンを止めてくれ」  東園寺崋山を止めるというのは、どういう意味だろうか。テルがされたように、身体の一部を徹底的に損壊するのか。自分たちに求められていることがよくわからなくなる。タツオは兄にいった。 「カザンをどうすればいいんですか、少佐」  目を細めると、逆島継雄が弟にいう。 「目標は敵と同じだ。タツオ、東園寺崋山の進駐官としての未来を断て」
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