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 内臓も当然加齢するのだ。だとしたら、自分の生殖能力はどうなるのだろう。「須佐乃男」の正操縦者は子をもてない可能性が高いのではないか。タツオはまだ結婚も子もうまくイメージできなかったが、その事実を想像するだけで胸が潰(つぶ)れるような思いを味わった。自分の青春と自分の遺伝子に、六時間の作戦でさよならをいうのだ。 「英雄になるために、若さのすべてを失うという訳ですか。なかなか皮肉なものですね」  ジョージは衝撃を乗り越え、皮肉を口にするほどの元気をとり戻している。タツオにはまだそれだけの余裕はなかった。兄の少佐がいった。 「作戦部と五王(ごおう)・東園寺連合のあいだで熾烈(しれつ)な権力闘争が続いている。むこうは『須佐乃男』の決戦兵器としての作戦完遂能力に万全の自信を持っているようだ。技術開発は優秀な人材ぞろいの五王重工だからな。ノーベル賞級の研究者を世界中から金にあかせて集めている。我々はここまでずいぶんと失点を重ねてきた。この計画の主導権をとり返すためにも、なんとしても主操縦者を確保しなければならない。五王・東園寺連合は日乃元の国体に悪影響を及ぼすだろう。思いあがりも甚(はなは)だしいことに、皇室にまで手を伸ばそうとしている」
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