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「きみが主操縦者候補に選ばれた理由がわかったよ。逆島家の勝者はみな『観の止水』を発動していたといわれている。わたしは秘伝の第2段階だという、その技の存在に疑問をもっている。伝説のようなものではないのだろうか。わたし自身少々『止水』をつかうが、進化型などまったくイメージできない。あの技は邪道だ。戦場で自分ひとりが素早く動いてどうする。父上はいつもおっしゃっていた。指揮官はつねに兵とともにあらねばならないとな。闘うのは優れたひとりではなく、進駐軍全体だ」  タツオはその時点で、初めて作戦部の苦境に気づき始めていた。事態は容易ならないところまで追いつめられているのだろう。 「五王・東園寺連合は、それほど強力なんですか」  兄が厳しい顔で口元を引き結ぶ。
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