第1章 再会と嘘

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彼が…帰ってくる 経営コンサルタント業に、社員育成 それと企業間の提携や、企業とスポーツ選手との契約など、幅広い事業を行う会社『オオサ』 そこの新入社員研修が 都心から大きく離れた、私の住む何もないこの地で 3ヶ月間の共同生活という形で 3年前から行われている 場所はというと、元は私の祖父母の住まいだった一軒家 だから、全ての新入社員という訳ではなくて、基本的な研修を入社式までに終えた新卒採用者から選ばれた数名だけで行われるモノらしい 今年度は26名の中から4人が参加する 今回その4人を統括するのが 彼、瀬戸正巳 今は、新人研修に農業体験などの趣向を凝らす企業は珍しくないという 『オオサ』の研修の目的は、様々な生活を観る事で、経営プランニングの幅を拡げる事にあるらしい この研修の第一期として瀬戸さんはこの地に初めて来て 時には…というかほぼ常に、心地の良いじゃれあいとリードを教えてくれ あっという間の3ヶ月後に、ここで掴んだ恋と供に帰っていった 相手は、当時高校3年だった私… では勿論なくて 同じく研修に参加していた 岡野春日という、穏やかな雰囲気を持つ人だった あれから3年も経つから…もしかしたら結婚とかしちゃってるだろうか? でも、だとしても…どうだというんだろう? きっと…なんにも変わらない あの時と同じ様に 3ヶ月後には、やっぱりただ見送るだけ…になる そう思いながらも、彼…彼らを迎えに行く為にハンドルを握りながら駅へ向かう車の中は鼓動がいつもより聴こえる気がしていた だって、顔を観れるのは3年振りなのだから…
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