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束縛という名の甘やかし。
いつもとろけるように甘やかしてくれる。
お姫様にでもなったみたいに。
付き合い始めた当初から。いまでも。変わりなく。
「可愛い子だ」
髪に耳にキスされて、そちらを向けば瞼と鼻先にもくちびるをやさしく落とされた。
少し開いたくちびるに 「大好きだよ」 と囁くようにして深いキスをする、なんども角度を変え、内側を愛撫する。
「んっ・・・うんっ・・・・あ・・・しょうじ・・・さ」
「またこんなにして、足りなかったのかい? 」
「ほしい・・・正司さん・・・お願い・・・」
「今度から、月払いじゃなく日払いでたのむよ。アキ」
「正司さん・・・お願い・・・」
「僕がキミのお願いを聞かなかったことがあったかい? 」
正司はベッドの上に胡坐をかいた。
「おいで。今僕はキミを思い切り抱きしめたい気分なんだ」
そう言って抱きしめるようにして座らせる。
「あぁっ・・・あ・・・あ・・・あ」
あまり奥まで入らず緩慢な動きのこれは絶頂には導けない。
でも抱きしめ合ってひとつになっている感覚を味わうには最高のものだった。
「しょ・・・じ・・さ」
「なんだい? 」
「大好・・・き」
「ありがとう。僕も大好きだよアキ。でもやっぱりいつかキミと結婚式がしたいな僕は」
「・・・・・・・わかった」
微笑んだアキと長い長いくちづけをかわす。
朝の光が部屋中に満ち溢れていた。
正司の肩を枕にするようにしてアキが眠っている。
その左耳には金色のピアス。もうすっかりピアスホールは出来上がっているのに。未だに新しいピアスにする気はないのか、それとも約束を守って正司のプレゼントを待っているのか。
ふと正司はそのピアスを抜いてやりたくなった。
捕まえられた小鳥を逃がしてやりたい気持ちというか。
ピアスがアキの足かせに見えたのだ。
両手をアキの耳たぶに回す、ピアスに手を掛けたところでストップがかかった。
「外しちゃダメだよ正司さん」
「アキ」
片目だけ開けてアキが正司を睨む。
「正司さんが俺にくれたものなんだから」
アキがむくりと起き上がり全裸で寝たことを思い出し、何か羽織るものをとクローゼットに向かった。自分には大きめのシャツを、正司にはガウンを持ってきてくれた。確かに空調が効いていて肌寒い。
「ありがとう」
ガウンを受け取って羽織る。
「このピアス、抜くなって言ったの正司さんだよ」
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