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「それが重荷になってる気がして」
「俺嬉しかったのに」
「アキ」
「俺は正司さんの愛の奴隷なんだ。絶対服従じゃないけど。でも好きって意味ではもうダメなんだ。正司さんなしじゃ生きていけないんだ」
「何言って」
「正司さんのためならなんだってする。エッチなボディピアスも開けろって言うなら開ける」
「アキ、ちょっと待って」
「だから束縛なんて嬉しいだけなんだよ正司さん。好きで好きで堪らないんだ。頭の中正司さんでいっぱいなんだ」
「アキ・・・もっと先にと思っていたんだけど」
「何? 」
「アメリカにジャズピアノの武者修行に行かないかい? 」
「アメリカ? 俺を突き放すの? 正司さんっ」
「今回のCD騒ぎでしばらく店も落ち着かないだろうしね、ちょうどいいタイミングかもしれない」
「うっとうしくなった? 」
「違うよ」
「好きになられすぎて困ったんでしょう? 」
「そうじゃない、アキ」
「じゃあ、なに」
「・・・僕も同じ気持ちなんだ。キミの愛の奴隷なんだ。好きで好きで堪らないんだ。だから、今一緒に居るのは良くない。仕事のパートナーになれないからね」
正司の瞳に薄っすらと涙が滲む。
「僕が離れて店を閉めたら生活が出来なくなる。君が離れて腕を磨くのはとても良いことだ。だから、わかってくれるね、アキ」
初めて見る正司の表情にアキは本気を感じ取る。
「いつまで・・・? 」
「3ヶ月」
入籍してからこんなに長く離れたことはなかった。ふたりの間に淋しさのようなものが一瞬よぎる。
「正司さん」
アキが正司に抱きついてくる。
「俺がいけないの? 好きになりすぎたから? 」
「違うよ。アキのアメリカ行きは前から計画してたんだ。ちょっと早まっただけ。それに好きすぎてるのは僕も一緒だから、悪いのはアキだけじゃない」
それから渡米までの間、ふたりは仕事から家に着くとシャワーに直行だった。
そこで十分愛し合い、横になりたくなって出てくる。
そしてベッドでまた燃え上がり何度となく上になり下になり、アキの声も甘さを増す。
「しょ・・じ・・・・さっ・・・あ・・・あぁ」
「アキ・・」
「触って・・・お願い・・・あぁっ」
おねだりを聞いてやるとことさら声が甘さを増した。正司を誘惑しているのだろう。
「アキ・・・キスして」
後ろから振り向きざまのもどかしいキスをする。
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