第1章

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「そんな・・・耳ばっか・・・やっ・・・」 「そう? 」 耳たぶをあま噛みしながら正司が優しく問う。 しばらく耳を愛撫した後、開放し、みつめあう。行為の最中にじっとみつめあうなんて恥ずかしくて、いつまたっても慣れない。 正司はそれをわかっていてやっているのだ。 「な・・に? 正司さん」 「好きだよ。アキ」 「・・・うん。俺も」 「僕はキミにどんな傷もつけたくない」 「・・・ピアスのこと? 」 「ただの。僕の気持ち」 「そんなっ・・・あっ・・・ああぁ・・・ああ」 結局その後はいつもより念入りに愛されて意識も絶え絶え、着ていたシャツも最後はボタンふたつしか残っていなかった―― 「ピアスして欲しくないって言えばいいのに」 そしたら諦めもつくのに。 「アキの自由だよ何て言うから」 迷ってしまう。 かといって。病院に行くほど大げさな気分でもなくて。 ピアッサーっでぱちんと開けてしまいたい気分だった。 「左耳だけでいいんだけどな」 正司が洗車に出ている珍しいアキひとりの時間。 いまなら―― ピアッサーは用意してあった。正司に開けてもらうつもりで買っておいたのだ。 「俺が開けて、病院でやってもらったことにすれば・・・」 アキは戸棚に隠しておいた紙袋へと手を伸ばす。 大きな鏡の前へと移動し、一通り説明文を読み、消毒液とティッシュを用意した。 マジックペンで開けたい穴の位置に印をつけ、耳たぶを消毒する。アキが買ってきたピアッサーはホチキス型で、ホチキスの針の部分にピアスが装填されている。 ガチャン。とやれば耳を貫通してピアスが固定される仕組みだ。 「この辺・・・かな」 アキはピアッサーで耳を挟んだ。 印の位置をなんとなく合わせ。覚悟を決める。 「んっ」 ガチャ。と半端な音でピアッサーが止まる。 「あれ? 」 途中で止まってしまったのだ。 アキはやり直そうとするが、ピアッサーは一度閉まると二度と開かない。そして半分以上閉まっているために耳から抜くことも出来ない。なにしろピアスが刺さっているのだから。 「え? なに? 痛い、どうしよ」 アキがパニックに陥ってる頃。正司が洗車から帰ってきた。 「どうしたんだい? アキ。寝室なんかで・・・アキ?」 「正司さん。助けて」 「一体何を。・・・自分でやってはいけないと」 「ごめんなさい」 「で。どうなってるの。これは」
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