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アンティークの大きな木枠の鏡に座った二人の男性が映る。耳を冷やされている方が腕を伸ばしもう一方の頬に手を添えた。
「さすがにもう一生触ってくれないって言ったら嫌だけど」
「それは僕も嫌だ」
もういいよ。とアキがタオルを取った。
「口きいてくれないとかもやだけど」
「そうだね」
「一緒に寝てくれないとか」
「ふふっ。だんだん小さくなったきたね」
「だからっ。俺は正司さんが欲しいのっ。プレゼントはなくても平気だから」
「・・・・・アキ」
「・・・僕もねアキ。キミが欲しくて欲しくて堪らないんだ。いつもそう思ってる。体だけじゃないよ。身も心もみんな。だからつい束縛してしまうんだけれど、君はそれを嬉しいって言ってくれた」
「うん。正司さんの気持ち。わかるから」
「でね、さっきまでは傷と考えてたピアスホールなんだけど。アキの処女をもらったことにしようかと思って」
「ええぇっ」
と心底おどろくアキに対し。
「穴。だし」
しらっと答える正司の美しい顔。
「正司さん、切り替え早っ」
「そっちの方にピアスつけるヒトもいるらしいからねぇアキ? 」
「知らないよっ。正司さんのエッチ。スケベ」
「でも。アキは 『初めて』 にいい思い出がないだろう? 少しでも僕で上書きが出来ればいいんだけど」
「あ・・・」
カラダで生活費をかせいでいたあの頃。お金のことで精一杯で初めても何も感じられなかった。
「それはいいんだ。上書きは、毎日してもらってるから」
「アキ・・・」
「ごめんね、正司さん。俺ピアスしちゃったから今日、入浴と運動だめなんだ。だから、今日は俺が正司さんにしてあげるね」
「え」
ニコッと笑うアキに手を引かれてベッドへと向かう。
手早くスラックスと靴下を脱がされてベッドに座らされた。
下着の上から擽るようにアキの指が這う。ピアノを弾くあの神聖な指で正司を愛撫している。
「んっ」
「感じる? 」
「あぁ・・・いいよ」
頭を下げよとするアキの顎を指先ですくい、唇へと誘った。
「んっ・・・んぅう・・ん」
巧みな正司のくちづけに。アキの腰も揺れてくる。
「ダメ。・・・正司さん・・・ダメ」
「ごめんよアキ。キミだけに奉仕させるなんて、僕には我慢できないんだ」
手早くアキの服を脱がし、自分も残りの服を脱いだ。
窓柄の光が傾き始めている。正司は間接照明をつけ、部屋のムードを変えた。
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