新学年

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「…それだけ。」 私からの視線を受け取ったさつきちゃんが、後半をつなぐ。 「………え?」 ぽかんと開く美奈ちゃんの口。 「それ、だけ?」 「……うん。」 「ほかには?」 「いや……、本当にそれだけ…」 「えぇーーーっ!?」 尋問のように食い気味で質問されたあと、大声で叫ばれた。 「仮にも、付き合いたてのカップルだよ!?まだまだ熱々でしょ? なんなのよ、その冷えきった夫婦間みたいなあっさり感は!!」 「……ぅ…あ……」 あんまり大きな声で言わないでほしい…。 「付き合いたてのカップル」とか恥ずかしい…。 「だってぇ、ひなが家族でおばあちゃんの家に行っちゃってて、春休み後半全然会えなかったんだもんっ」 さつきちゃんが飄々と横で言い逃れを述べるものだから、美奈ちゃんの鋭い視線が私に向かう。 「ひぃーーなぁーーー!!」 「ひぃっ!」 なんで私は怒られているのだろう…。 あの時一回、さつきちゃんの家に行くだけで私にとっては結構なHPを消費する出来事だったのに…。 そりゃ私だって、寂しくなかったかと言われれば嘘になるけど… おはあちゃんちでも毎日メールしてたし、たまには電話だってしてたし……。 「さつきちゃんも大変だったねぇ。さつきちゃんだって健全な『男のコ』なのにね?」 「…美奈ちゃん、『男のコ』だけそんな強調しなくていいから。」
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