39人が本棚に入れています
本棚に追加
「…それだけ。」
私からの視線を受け取ったさつきちゃんが、後半をつなぐ。
「………え?」
ぽかんと開く美奈ちゃんの口。
「それ、だけ?」
「……うん。」
「ほかには?」
「いや……、本当にそれだけ…」
「えぇーーーっ!?」
尋問のように食い気味で質問されたあと、大声で叫ばれた。
「仮にも、付き合いたてのカップルだよ!?まだまだ熱々でしょ?
なんなのよ、その冷えきった夫婦間みたいなあっさり感は!!」
「……ぅ…あ……」
あんまり大きな声で言わないでほしい…。
「付き合いたてのカップル」とか恥ずかしい…。
「だってぇ、ひなが家族でおばあちゃんの家に行っちゃってて、春休み後半全然会えなかったんだもんっ」
さつきちゃんが飄々と横で言い逃れを述べるものだから、美奈ちゃんの鋭い視線が私に向かう。
「ひぃーーなぁーーー!!」
「ひぃっ!」
なんで私は怒られているのだろう…。
あの時一回、さつきちゃんの家に行くだけで私にとっては結構なHPを消費する出来事だったのに…。
そりゃ私だって、寂しくなかったかと言われれば嘘になるけど…
おはあちゃんちでも毎日メールしてたし、たまには電話だってしてたし……。
「さつきちゃんも大変だったねぇ。さつきちゃんだって健全な『男のコ』なのにね?」
「…美奈ちゃん、『男のコ』だけそんな強調しなくていいから。」
最初のコメントを投稿しよう!