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さつきちゃんが冷ややかにつっこむ。
「まーまー、美奈。その辺にしといてあげなよ。人それぞれなんだから。」
そこで葵ちゃんのフォローが入る。
まだ何か言おうと意気込んでいた美奈ちゃんは不服そうに、乗り出していた身を元の位置に戻した。
…た、助かった……
「この後、授業入ってる?」
ここぞとばかりに私が話題をふる。
「ああ、うん。一応見てみたい授業あるんだよね。」
「あ、そーなの?ウチ暇だからついていこうかなー。ひなもあるんでしょ?」
「うん。」
葵ちゃんと美奈ちゃんが口々に答えるなか、私は隣を振り返った。
「さつきちゃんは?」
「僕は空きコマ。」
「そっか。じゃあ私達そろそろ」
「でもちょっとそこまでいく。」
立ち上がろうとした私たちに続いてさつきちゃんもガタっと椅子を立った。
「っていうか、ちょっとひな借りるねーっ」
「…へっ?ひゃっ!!」
突然そう言ったかと思うと、さつきちゃんは私の手を取って食堂の外へ引っ張っていく。
「…ちょ……さ、…さつきちゃん?」
手を引かれて走りながら、一体どうしたんだろうと考える。
なんか怒ってる?
いや…、でも怒らせるようなことした覚えないしなぁ。
「……。」
「…っ…、はあ……。」
ようやくさつきちゃんが足を止めたのは、人気の少ない食堂と購買の間の廊下。
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