1

2/17
前へ
/92ページ
次へ
「…は?お…私…が、出張?」 思わず、一人称を俺と言ってしまいそうになった。 社会人何年やってんだよ、俺。 「うん。そう、出張です。」 にっこりと笑って資料を渡すのは、曽我賢二。 「…曽我さん。ちょーっと、話いいですか?」 「…しょうがないですねぇ、都築さん。」 俺たちは薄っぺらい笑顔を浮かべ、喫煙室へ向かった。 「…ねぇ、曽我さんと都築さんって、2人になりたいときは喫煙室へ向かうよね。」 「あー、あの2人、言い合いし出したら社会人らしからぬ口調になっちゃうからさ。」 「別にここで話してもよくない?」 「そうだけど…さすがに、ここで俺って、言いたくないんじゃない?お客さんきたりするから。」 お前ら、聞こえてんだよ… 話してた2人の部下を横目で見ながら、喫煙室のドアを開けた。 中に誰もいないことを確認する。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1006人が本棚に入れています
本棚に追加