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聴き覚えがあるはずなのに思い出せない。
そんな錯覚を起こしてしまうほど、このヴォーカルの声は私にとって心地のいいトーンで発せられている。
「ありがとう。」
二曲目を途中まで聴き、イヤホンを耳から外して奏美にミュージックプレイヤーを返す。
満足そうな私の顔を見て嬉しくなったのだろうか。
彼女は待っていましたと言わんばかりに、次はスマートフォンを差し出し、きっと予め準備してあったであろうページを私に見せる。
「でもね、彼らの素晴らしさは音楽だけじゃないの。
見てよ、これ！」
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